JAM HOME MADE
増井氏 x 柿本広大監督

009 RE:CYBORG」(2012年)に続いて、“肌に最も近い プロダクトデザイン”をコンセプトに、シンプルでユーモアのあるデザインを発信し続けているジュエリーブランド、JAM HOME MADE。そんなJAM HOME MADEのクリエイティブディレクターであり、「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」の劇中で島村ジョーが身に着けている腕時計をデザインした増井元紀氏と、メガホンを取った柿本広大監督に、今回のコラボに関して話をうかがった。

石森

CYBORG009 CALL OF JUSTICE』で衣装デザインとして、劇中で島村ジョーが身につけている腕時計をデザインして頂きました。

増井

009 RE:CYBORG』の時にもコラボレーション商品をデザインをさせてもらって、今回また新しく『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』を制作するという事で声をかけてもらい、その時はまだ具体的なアイテムまでは決まってなかったのですが、「是非」という事で、やらせてもらいました。

柿本

僕は腕時計と服でコラボしよう、という話を聞いていて、キャラクターデザインに反映していったので、まさに齋藤将嗣さんとのコラボといいますか、齋藤さんとJAM HOME MADEさんで、このキャラクターを作って頂いている感じがすごく良かったです。通常アニメの現場で、腕時計とかそういったものをデザインして進める場合、割と当たり障りなくオーソドックスな感じになりがちなんですけど。多分そういう部分をこだわって作らないとお客さんの期待に応えられないところもあると思うんです。今回、増井さんにデザインして頂けて本当に良かったです。

石森

実際に映像を見た時はいかがでしたか?

増井

いやー興奮しましたよ!かなり興奮しましたね。

柿本

特に、ロゴをわざと見せようとか、考えてはいなかったのですが。シーンごとに見せるべきところ、本来あるべきところにカメラを置いたら、そこにちゃんと映り込んでいたんで、結果として良かったなと思って(笑)。

時計は本編の映像だとちょっとわかりづらいかもしれないんですが。

石森

実在するアパレルブランドの商品が、アニメ本編にそのままの形で登場するというケースはよくありますか?

柿本

いや、ないですね。先ほど言った通り、むしろリアリティーが欲しくてもそういう細部のデザインでは逃げる傾向にありますし。時計などは作画が大変ということもありますが、そもそもデザインが出来ない。キャラクターデザイナーや、プロップデザイナーはいますが、キャラクターの服装を増井さんのような観点で見てもらえることって、アニメの現場ではほぼないことなので、そういった意味では今回、3Dという点も幸いして、かなり良い感じにまとめて頂いたと思います。

増井

今回、アニメの制作段階からの企画だったので。ジョーの事とか「加速装置」とか、僕の中にも妄想があったりして。「島村ジョーが腕時計をつけていたらどんな風になるんだ?」「加速する瞬間に時計ってどう動くのか?」とか。最終的には彼をイメージしてというより、「彼がつけていたらこうなるだろうな」と。文字盤は数字が逆になっていたり。JAM HOME MADEのクロノグラフの秒針は赤なんですけど、ジョーが着けていたら加速装置を繰り返して、ちょっと褪せてオレンジになるんじゃないかとか。

柿本

なるほど。あのオレンジは褪せてるイメージなんですね。面白い。

増井

実は(劇場上映時に)第2章を観た時に、時間が戻るという表現があって、ちょっと震えました。その解釈だと、この時計のデザインにもハマるなと。

石森

文字盤の一部が反転しているデザインにはどうやって辿り着いたのですか?

増井

ジョーが加速装置を使った時、腕時計がどうなっているのかをイメージして。何か測定出来ない状態になってはいるけど、別に壊れているわけじゃない。そういう状況をどう表現するかっていう事を考えていきました。

柿本

そこが面白いですよね。ジョーに対する“時計”って、すごい難しいアイテムじゃないですか。ジョーって人間に戻りたいと思っていて、そんな彼が普通の時計を買って着けているのか、それともサイボーグ戦士として使える時計をギルモア博士ともども作っているのか、とか妄想しますよね。

増井

ね、妄想しますよね?

石森

演出やディレクションも、デザインを積み上げて一つのものを完成させるという面があるかと思いますが、柿本監督がアニメでディレクションする時に気をつけていることや、こだわっている点はありますか?

柿本

基本的にキャラクターに連続性を持たせるというか、その場にいるリアリティーが一番大事だと思っているので、いきなり感情が飛んだりとか、そういう事がないように気をつけています。キャラクターのデザインがあがってきたら、そのデザインによって大体性格って決まるじゃないですか。その印象からあえてずらした方が良いか、見たままの方が良いかって考えながら、少しずつ情報を蓄積していって。例えばジョーだったら本人は結構素朴だけど、なかなか思い悩むタイプの人間だな、とか。キャラクターの性格や性質はどんなシーンにおいてもぶれないように毎回気をつけていますね。

石森

増井さんはデザインをする時こだわられる点はありますか?

増井

デザインするもの自体、原型はあったりするので。例えば腕時計でも、その枠は出来るだけ壊さないように、何か新しい物が生み出せるか、新しい価値観が足せるかという点は考えます。今回の腕時計はジョーがつけるということで、やっぱりクロノグラフ。ストップウォッチ機能がついている時計を指すんですけど。クロノの語源は、ギリシャ語の「時間を記録する」という言葉からきています。一番プレーンなクロノグラフをジョーが着けているとどうなるか・・・・・・という発想です。他の文字盤は一切普通なんですが、時間を記録する部分のメーターだけをちょっと反転させている。全部ひっくり返すのも違うよな、とか思ったり。さじ加減っていうんですかね。

柿本

僕自身もクロノグラフを好きで使ってるんですが・・・・・・まあ、ストップウォッチ機能は使った事はないですけど(笑)。

増井

使わないですよね……(笑)。使わないけど、大事なんですよね。

柿本

腕時計って、このメカっぽさが良いんですよね。腕にメカをつけてる感じが男心をくすぐるというか。

増井

ショーン・コネリーが演じるジェームズ・ボンドが映画で着けていた腕時計がロレックスのサブマリーナで、劇中でベルトをNATOの腕時計のベルトに変えていた事があって、それが今は“ボンドモデル”って定着している。今回の腕時計もそういう風になって欲しいなと思っています。ジョーが身に着けているものがたまたまJAM HOME MADEで、ジョーが着けていたらだんだん文字盤もひっくり返っていって、赤だった秒針もオレンジに変わっていった・・・・・・みたいな。

柿本

面白いですね。クロノグラフのストップウォッチ以外の文字盤は、ジョーの普通の人間性を表していて、ストップウォッチの文字盤はサイボーグとしてのジョーを表している感じがします。

商品情報

CYBORG009 CALL OF JUSTICE』Blu-ray&DVDの発売を記念して、JAM HOME MADEから新商品が発売。 本編で主人公、島村ジョーが身に着ける服を再現できるステンシルプレート2種類と、18金とダイヤモンドを使用して「009」のロゴを イメージして作られたネックレスが発売。

ダイヤモンドジャムウォッチ TYPE C timeless

32,400円(税込)

Size:
ベゼル : 外径40 mm
文字盤 : 外径30 mm
ケース :約40 mm
ステンレスベルト : 幅20 mm

Color:
SILVER
※Black

Stone:
BLACK DIAMOND

現在は受注販売終了しております。