石ノ森作品がTシャツで蘇る million art Tシャツ Commentary

西武渋谷店 モヴィーダ館6階特設会場で行われた「石ノ森章太郎ART TOY FES.」IN SHIBUYAにて販売されていた80周年記念 million art Tシャツ80型を掲載してみました。今までTシャツになったことのないような作品やマンガのコマもたくさんあります。多数ある石ノ森作品の中から、セレクトした80の絵柄を、今回解説付きで掲載しています。

来年開催されるのイベントの会場でも販売予定です。イベントの詳細に関しては、後日、ホームページで発表いたします。

ぜひ、ご期待ください。

1955「二級天使

1955年の連載デビュー作。高校生のときに描かれた、自由なタッチと発想で溢れている作品です。どのコマを選ぼうかと考えた末、連載1回目の1ページ目、主人公ピントが自己紹介するコマを、タイトルも含めてセレクトしました。

1956「幽霊少女

1956年9月号から計12回で描かれた「少女クラブ」での初連載作品。少女マンガでありながら異次元SFという非常に石ノ森章太郎らしい作品で、今回選んだのは第9話の扉絵です。

1957「火の鳥風太郎

1957年に発表された単行本デビュー作。父である殿様の命令を果たすため火の鳥を探す旅に出た風太郎(かぜたろう)が、道程で出会った狼に翻弄される一幕です。コマの内に外にと飛び越えて逃げ回る狼に、石ノ森章太郎の遊び心を感じます。

1957「水色のリボン

1957年に「少女クラブ」で連載された「水色のリボン」の最終回の扉絵。デビュー間もないこの時代に描かれた少女向け作品は、いま見ても可愛らしい絵柄が多く、読んでいない方や若い世代の方でも惹かれる部分があるのでは?と思い、セレクトしました。

1958「三つの珠

1958年に「少女クラブ」で連載されたファンタジー作品で、天から落ちてきた3つの玉をめぐる物語です。平安時代が舞台で、独自の幻想的なモチーフが随所に散りばめられています。作中の要素を取り入れた、連載予告用のカットを選びました。

1959「黒いひとみ

1959年「少女クラブ」に掲載された短編の扉絵。背景の黒が効いています。神や魔法使い、妖精などが人間と暮らす“どこかの国”が舞台の物語です。ちなみに「黒いひとみ」の持ち主は主人公の少女ではなく、少女を助ける王子さまです。

1959「テレビ小僧

1959年から「日の丸」に連載されたギャグマンガ。田舎から出てきてテレビスターを目指し奮闘する少年・テレちゃん。普段はハチャメチャながら、このイラストではどこか哀愁も。華やかなギョーカイのネオンをイメージさせる色使いが印象的です。

1959「青い月の夜

1960年「少女クラブ」掲載の短編。両親の別れ話に聞き耳を立てていたアコちゃんは、悲しみから逃げたくて人形に問いかけます。楽し気な人形の輪に加わり悲しみを忘れようとするアコちゃんですが、作中で彼女が笑顔で人形たちを眺めているのは、この一コマだけ。幸せな情景はほんのひと時…それが心に残りました。

1960「アコのカナリヤ」

1960年「たのしい三年生」「たのしい四年生」に連載された、横浜のお屋敷に暮らすアコと、彼女のもとを訪れたカナリヤの話。こちらをまっすぐ見つめる愁い帯びたまなざしと、少女らしい大きなリボンが情緒的です。

1960「いやんポコ

1960年から連載された作品。とくに「りぼん」掲載版は、ほぼセリフなしの形式です。手書きの書体や配置されたコマはデザインとしてもかわいらしく、見ても読んでも楽しいTシャツになればと思い選びました。

1960「かけだせダッシュ!!」

1960年から「週刊少年サンデー」などに連載された作品。少年事件記者・ダッシュが活躍するストーリーで、少年漫画ながらどこかスタイリッシュな雰囲気が感じられます。不穏な事件を予感させる、第2話のはじまりのシーンです。

1960「にじの子

1960年から61年まで「少女クラブ」で連載された作品です。タイトル通り、虹をモチーフに取り入れた象徴的なイラスト。みずたまりに映る虹と少女の美しい構図が目を引きます。

1960「フラッシュZ

1960年から61年にかけて「まんが王」「小学生画報」に連載された、「桃太郎」をベースにしたSF冒険活劇です。今回選んだのは番外編として描かれた「タイムパトロール」の扉絵です。

1961「王アラジン

1961年から62年にかけて「少年画報」に連載されたSFアクション。ランプ型の機械から現れるアラジンに隠された秘密に、当時衝撃を受けた子供も多かったと聞きます。躍動感あるカラーイラストを選びました。

1961「黒い風

1961年「冒険王」で連載された時代劇作品。豊臣方が徳川家康に滅ぼされた後の世に、敵に襲われ記憶をなくしたひとりの男……“黒い風”と呼ばれる忍者・小月風乃進。因縁を背負った忍びの闇に溶けるように浮かぶ姿が印象的です。

1961「きのうはこない だが あすもまた…」

1961年「少女クラブ」に掲載。思わず口にしたくなるタイトルをそのままTシャツデザインに、と選びました。この扉絵はそのまま本編の導入にもなっています。ただの一枚絵ではなく、物語の始まりでもある一枚です。

1961「龍神沼

1961年「少女クラブ」掲載。情緒的な風景描写がふんだんに盛り込まれた作品です。蛍火の中、龍神沼の少女が主人公の研一にそっと触れて立ち去る、言葉もない束の間の美しいやりとりです。

1962「きりとばらとほしと」

1962年「少女クラブ」掲載。吸血鬼をモチーフに描かれた短編の扉絵です。タイトルにある「霧」「薔薇」「星」の要素を背景に、ゆれるような線で描かれた髪の毛や、肩越しにこちらを見つめる視線と陰影が、長い時間を生きる少女・リリの心情を伝えてくれるような気がします。

1962「江美子STORY

1962年に「少女クラブ」で連載。裕福な家庭に育った江美子が本当の幸せとは何かを模索するストーリーで、豊かさでは解決出来ない問題に直面するメッセージ性のある作品です。江美子に漂う“お嬢様らしさ”をTシャツに。

1962「ジョージ!ジョージ」

1962年「少年ブック」連載。船舶事故の漂流で両親を亡くし、漂流先で世話してくれた牧師を殺され、その仇を討つためたったひとりで戦う不屈の少年・ジョージ。その意志と気高さを感じさせるカラーイラストです。