石ノ森萬画館
「石ノ森章太郎とジュン展」
レポート

会場入り口で迎えてくれるのはジュンと少女の出会い。

石ノ森章太郎の誕生日にあたる1月25日、石ノ森萬画館にて「石ノ森章太郎とジュン展」がスタートしました。これまで多くの展覧会が催されてきましたが、「ジュン」に焦点をあてた単独の展覧会は初!どんな展示になっているのかここで簡単に紹介して、足を運べなかった方のためにレポートします!

 

1967年に手塚治虫が創刊したマンガ雑誌『COM』(虫プロ商事)で連載がスタートした「章太郎のファンタジーワールド ジュン」は、限られたセリフ、大胆で実験的なコマ割り、抒情的な絵で構成された、読者のイマジネーションに強く働きかける作品として大きな話題を呼んだ石ノ森の代表作のひとつです。

 

紙面を自由自在に使った石ノ森の演出がその後にマンガに与えた影響は計り知れず、マンガ史的にも非常に重要な作品になります。『COM』での連載終了後もジュンは様々な作品に様々な形で登場していきます。

 

直接的なマンガ作品としては、1977年~79年にかけて「魔法の世界のジュン」(『アパッチ』講談社→『リリカ』サンリオ)が連載され、
その後アニメ雑誌『マイアニメ』(秋田書店)で1981年~84年にかけて「石ノ森章太郎のFANTASY JUN」というタイトルのイラスト連載がされました。

「章太郎のファンタジーワールド ジュン」の「風の心」原画展示。
「風の心」で単行本化の際に描き直されてる部分の初出ページ!

そのほかにも「ブルーゾーン」の二子神ジュン、「青い風のノート」の宇乃ジュン、「青い馬」の望月ジュン、「グリングラス」の氷川悠が〝ジュン〟の派生キャラと思われ、またオリジナルアニメ「大恐竜時代」にはジュンそのものが登場し、「青いマン華鏡」「ボクのヰタ・セクスアリス」といった自伝系作品にもジュンは度々現れています。

変わったところでは「さるとびエッちゃん」にゲスト出演したりもしています。「石ノ森章太郎とジュン展」ではそういったジュンの全てが、関連の作品も含めて228点の原画を並べることで見渡せるようになっていました。

初めて展示される貴重な原画も多く、見応え満点の展示会でした!

ジュンは石ノ森章太郎の分身とも言われており、石ノ森が体験してきたことや青春時代の思いが込められているキャラです。つまり、ジュンの旅は、石ノ森の旅と大きく重なっている部分があるハズです。ジュンを通して石ノ森章太郎の思いに近づく、絶好の機会になります。

今回、企画展と連動して、常設展示室内の原画コーナーでも「ジュン」の原画を展示していました。
3階ライブラリーでは「ジュン」関連本の特設コーナーが設置されていたので、作品を熟読したい方は足を運んでいたようです。

また3階展望喫茶「BLUE ZONE」では、ジュンをはじめとした石ノ森キャラクターの限定コラボメニューが限定ブロマイド付きで登場!1階のショップではジュンをイメージしたスケッチブックやペンケース、『魔法世界のジュン』『石ノ森章太郎のFANTASY JUN』のマスキングテープなど展覧会限定オリジナルグッズが販売されていました。

会 期 2018年1月25日(木)~ 2018年4月8日(日)
会 場 石ノ森萬画館2F企画展示室
観覧料 大人800円/中高生500円/小学生200円/未就学児無料(常設展観覧料含む)

石ノ森萬画館 ☞ http://www.mangattan.jp/manga/

ジュンが狂言回しで登場する「7P」の展示。

魔法世界のジュン」のカラーイラスト。『リリカ』の表紙は記憶に残ってるファンも多いのでは?

『マイアニメ』連載の「石ノ森章太郎のFANTASY JUN」カラー原稿。毎回、過去の作品とジュンが何らかの形で絡むという楽しいイラストの連載だった。

記念撮影コーナー。