筑摩書房創業80周年記念企画として刊行がスタートしている『現代マンガ選集』全8巻に石ノ森章太郎の作品が再録されております。
総監修の中条省平氏の、「1960年代以降半世紀にわたる日本の「現代マンガ」の流れを新たに「発見」する試みです。マンガ表現の独自性を探り、「本物」を選りすぐって、時代を映すマンガの魂に迫ります」という理念の元、8つのテーマが設けられ、それぞれに選者が設けられた選集です。
その第1巻「表現の冒険」編(選者・中条省平)には、〝マンガに技法的な革新をもたらした 作家・作品〟として「章太郎のファンタジーワールドジュン」から「待つ」が収録されます。
第一巻「表現の冒険」編は冒頭に「待つ」が収録され、それに続いて岡田史子、つげ義春、林静一、佐々木マキ、真崎・守、宮谷一彦、安部慎一などが収録されており、60年代から70年代の『COM』や『ガロ』で活躍された作家中心に、時系列順に収録されています。手塚治虫の強い影響を受けて王道の少女・少年マンガを描いてきた石ノ森が、『COM』や青年誌などで早い段階で実験精神を解放していた事を改めて認識させてくれます。
そして、〝ギャグマンガを中心にして、しかし、ジャンルにこだわらない〈笑い〉の諸相を追求〟した第2巻「破壊せよ、と笑いは言った」編(選者・斎藤宣彦)には、「テレビ小僧」第一話と「さるとびエッちゃん」の『週刊マーガレット』連載第3部の最終話が収録されています。
石ノ森は「マンガ家入門」で、具体的で実践的な〝ギャグマンガの描き方〟を解説しましたが、ギャグマンガの歴史においても石ノ森が早い時期から表現を模索していた事を解き明かしてくれます。
この選集は以降、以下の続刊が予定されています。
第三巻「日常の淵」(選者・ササキバラ・ゴウ) 刊行中
第四巻「異形の未来」(選者・中野晴行) 8月刊行予定
第五巻「俠気と肉体の時代」(選者・夏目房之介) 9月刊行予定
第六巻「悪の愉しみ」(選者・山田英生) 10月刊行予定
第七巻「恐怖と奇想」(選者・川勝徳重) 11月刊行予定
第八巻「少女たちの覚醒」(選者・恩田陸) 12月刊行予定