石ノ森章太郎 アニマル特集
石ノ森章太郎 アニマル特集
筑摩書房のちくま文庫から「アニマル・ファーム」が復刻されたのを記念して、
石ノ森章太郎の動物キャラを作品の中からピックアップして大集合!
気になった動物がいたら、ぜひ読んでみて下さい!!
『週刊少年マガジン』(講談社)
1970年35号から38号まで連載。
ジョージ・オーウェルの名作小説「動物農場」をマンガ化しています。全体主義と独裁政治を豚や馬を登場人物にして描くという原作の試みを、さらにカリカチュアさせた表情や動きで寓話性を推し進めるという野心作です。今回のちくま文庫での復刻では他に小松左京原作「くだんのはは」、「怪談牡丹燈籠」をモチーフにした「カラーン・コローン」の2編も収録しています。
石ノ森はプロデビューする前からたくさんの動物の絵を描いています。
リアルなタッチから絵本のようなデフォルメした絵、風刺画タッチやディズニータッチなど、実験するかのように様々なタイプの動物画を確認することができます。あまりそういうイメージはないかもしれませんが、動物を描くのが好きだったのではないかと思います。同人誌『墨汁一滴』でも、孫悟空がアフリカ大陸を冒険するマンガや、動物を擬人化させるイラストシリーズ、「気の狂った動物たち」という風刺画を発表しています。
デビュー以降も、実は動物を登場させる機会も多く、動物をメインキャラクターにしている作品も少なくないと思います。
「たのしい二年生」(講談社)1958年7月号掲載。
子ねこを拾ったみこが、家で飼ってもらえずに、飼い手を探して歩くという飾り気のない話なのだが、子供にとっての一大事を子供目線で丁寧に描いた微笑ましく誠実な作品。石ノ森描く子ねこの可愛さも堪能できる。
大全集「黒いひとみ」に収録。
1981年4月からTBSで放送されたドラマ「玉ねぎむいたら」の劇中で使用されるために描かれた。藤岡琢也演じる大御所マンガ家・大国鶴郎が描いたという設定になっている。
主人公のリーコが性の武者修行に出るという話なのだが、なぜかリーコだけが人間で、リーコが都会で出会う他のキャラクターは全て動物になっている。
『ビッグゴールド』(小学館)1978年6月8日号掲載。
『漫画少年』でトキワ荘メンバーたちと描いた企画「動物図鑑」に、20年を経た石ノ森が挑戦したもの。ダジャレや風刺など、石ノ森が楽しんで描いているのが伝わってくる。
大全集「7P」に収録。
1975年5月頃、カネボウ食品とのタイアップ企画として描かれ、『少年マガジン』『少年サンデー』『少年チャンピオン』各誌に登場。メスモグラのモコちゃんに愛を伝えようと奮闘するモゴちゃんが可愛い。
大全集「海底3万マイル」に収録。
『ギャルズライフ』(主婦の友社)でトーマス・ショウ名義で1978年9月号から1979年12月号まで連載。毎回、亀のマックトータスと兎のロッキー・ローラーがヒロインの豚のタッティをめぐって小競り合いする、アメリカのカートゥーンを意識したような洒脱な作品。
大全集「ワルカロー」に収録。
『プレイコミック』(秋田書店)1980年1月10号から1981年12月10日号まで連載。
ちょっとした超能力が使える村雨良がバーテンとして働くスナック「度ッ恋処」を舞台にした夜の大人の物語。第32話「犬とおまわりさん」の回に登場したのら犬が、村雨によって超能力が植えつけられ、ツーパーワンと名前をもらい、いつの間にかレギュラーキャラとして最終回まで登場し続けることに。石ノ森はこの犬が気に入ったらしく、この後の他の作品にも登場することに。
『毎日小学生新聞』(毎日新聞)1982年から1992年にかけて連載。
「Knight andN da」に登場したツーパーワンをそのまま主人公にしたカラーマンガ。設定もそのままで、超能力持ったのら犬のツーパーワンがその些細な超能力でたくましく生きていく。
『週刊少年キング』(少年画報社)で1982年4・5合併号より22号まで連載。
幕末の京都を舞台に、発明少年・モ一(もいち)が様々な発明で坂本竜馬や新撰組を騒動に巻き込んでいく時代劇コメディだが、ここにもモ一の相棒としてツーパーワンが登場。
1982年から1984年にかけて学習研究社の「1年の学習」から「6年の学習」各誌で連載。
異次元からやってきたから「いじ犬」というペチッと、ミチルちゃんやカン太くんが巻き起こす騒動を描いた日常ギャグマンガ。ペチッの相棒としてブクも大活躍する。デザインは微妙に違うが、どこかツーパーワンと共通するキャラクターになっている。
【番外編】
1975年5月頃、カネボウ食品のガムのキャラクターとして描かれ、『少年マガジン』『少年サンデー』『少年チャンピオン』各誌に登場。動物…に入れていいのかは迷うところだが、雪男のボンブーはキャラクターデザインもお人よしな性格も愛らしいのでご紹介!
大全集「海底3万マイル」に収録。