書籍担当編集者の声

復刊ドットコム

「サイボーグ009 [カラー完全版]」シリーズについて

 

この数年、「サイボーグ009」のB5判[完全版]シリーズを企画刊行してきましたが、なにぶん高額本のため、当初は「地下帝国ヨミ編」だけ、好評なら続刊というプランでした。ところが、非常に反響が大きかったので、原点の「誕生編/暗殺者編」に戻り、以降、昨年末の「海底ピラミッド編」まで実に7巻を数え、読者の皆様には深謝の一言です。福田淳一氏、高木晃彦氏ほか旧知の方々の多大な協力と、石森プロさんや各社のご理解のもとで成立している、極めて特殊なコミックの出版形態。その基本方針は3つで、

 

1=雑誌初出時と同じB5判で、カラーページや扉も完全再現。

 

2=オリジナル原稿を新規ダイレクトスキャンした高精細画質。

 

3=雑誌初出時の編集形態に準じ、既存単行本版との違いを、巻末の図説やギャラリーでフォロー。

 

これらは、当シリーズの言わば生命線ですから、手間や費用がかかろうがどうしても貫徹したいし、また、購入者の方々もそこを評価して下さっているのだと思います。コストがかかるぶん高額になってしまう点、何卒ご容赦下さい。石ノ森先生の画風……特に、60年代後半から70年代初頭ごろは、ジョーの髪の毛や瞳を見ればわかるように、主線(おもせん)が非常に細く、デリケートですので、前記の「1」と「2」は必須。また、各誌に横断連載された大河作品ゆえ、初出時の書誌情報を今のうちに整理し、遺しておきたいという思いから「3」が発生。各巻・約600Pの大冊を、シルバー・白・黒が基調の、保護性の高いハードBOXに入れ、「本」というよりも、あえて「SF的物体」のような造りにしています。

 

009は時期によって作品傾向がさまざまですが、個人的には「地下帝国ヨミ編」「まぼろしの犬(クビクロ)」「ローレライの歌編」「天使編」などが好きです。
同じ方式で、「仮面ライダー」「人造人間キカイダー」「イナズマン」「ロボット刑事」「仮面ライダーアマゾン」も並行して刊行しました。

 

電子書籍の時代を迎え、こういう形での「紙」の出版は、おそらく二度とできないであろうと思われますので、ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 

復刊ドットコム・取締役編集長
森 遊机(もり ゆうき)さん

サイボーグ009 [カラー完全版]

1965

ベトナム編/ミュートス・サイボーグ編

価格 12,300円(税抜)

サイボーグ009 [カラー完全版]

1964-65

誕生編/暗殺者編

価格 12,300円(税抜)

サイボーグ009[カラー完全版]

1965-68

サイボーグ戦士編

価格 12,300円(税抜)

サイボーグ009[カラー完全版]

1966-67

地下帝国ヨミ編

価格 12,300円(税抜)

サイボーグ009[カラー完全版]

1968-69

天使編

価格 12,300円(税抜)

サイボーグ009[カラー完全版]

1969-77

神々との闘い編

価格 13,800円(税抜)

サイボーグ009[カラー完全版]

1977-79

海底ピラミッド編

価格 14,800円(税抜)

仕様:B5版、箱入り
発行:復刊ドットコム
復刊ドットコム(http://www.fukkan.com/

※現在品切れのためご購入いただけないものもございます。あらかじめご了承ください。

三栄書房  

【はじめに】

2017年5月9日・・・。

昨年3月9日より始まったサイボーグ009の全巻行は終わりをむかえました。

気づけばあっという間の14カ月。

最終巻を終えた時、非常にすがすがしい気持ちと寂しい気持ちが一気に押し寄せたような感覚でした。

ファンの方・サイボーグ009を初めて知り購入していただいた読者の皆様。

そして全刊行させていただきました石森プロに熱く御礼申し上げます。

 

【編集に関して】

何度も様々な形で発行されている「サイボーグ009」をコンビニコミックとして出すにあたって考えたのが
・エピソードの発表順に収録すること
・すでに読んでいるファンの方々にも気軽に楽しんでいただける本にすること でした。

エピソードを発表順にしたため、キリのいいところまでを収録すると各巻のページ数がバラバラになってしまいます。 そうすると値段も巻によって違うことになってしまい、買われる方にはちょっと買いにくかったかもしれません。 でも、無理に整えることをせず、石ノ森先生が描かれた順番に読んでいただくことが出来て良かったと思います。 それから、ファンの方々に楽しんでいただけるために、「石ノ森章太郎劇場」という企画を考えました。 石ノ森先生は、作品に自分を登場させることがとても多い作家でした。自伝的な作品はもちろん、 そうではない作品にも顔を出し、時にはホスト的な存在だったり、完全に登場人物だったりと、石ノ森先生自身がキャラクターとなって活躍しました。 石ノ森章太郎と言われると、パッと石ノ森先生の絵の顔が容易に思い浮かぶのはそのおかげだと思います。 石ノ森先生もライフワークとしてその人生の大部分関わった「サイボーグ009」に近づくには、石ノ森先生のことを知るのがいいんじゃないか?そう考えて、石ノ森先生が登場する作品を選んで各巻に収録しました。最近よく使われる「まんが家マンガ」の先駆けであると思います。有名な短編から、ちょっとマニアックな作品までバラエティーに富んだセレクトが出来て、選ぶこちらもとても楽しかったです。 これを機会に、「サイボーグ009」以外の石ノ森作品にも興味を持っていただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

株式会社三栄書房 木村斉史さん ライター 今秀生さん

三栄書房「サイボーグ009」シリーズ

http://www.sun-a.com/sp/009/

※現在品切れのためご購入いただけないものもございます。あらかじめご了承ください。